30歳からの漢詩エントリー
それは「どう生きるか」を考えること
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発行者による作品情報
大人の教養、知性の最高峰、時空を超える異才たちの文学。その「漢詩」の魅力と読み方を一冊に凝縮。
絶望の中に生きた陸游、破壊された長安で酒浸りの日々を送った杜甫、「値千金」で有名な蘇東坡、中国人をうならせた漱石、共産主義活動に挫折した河上肇の漢詩を取り上げながら漢詩が包含する「知」と「情」の世界を解説。漢詩が学校教育で軽視されていることへの問題提起も。
漢文や漢詩を読むために必要な基礎知識は、はっきり言ってありません。あるとすれば、「自分がどう生きるのか」を考えることが、漢文や漢詩を理解し楽しむ道を作ってくれるでしょう。―本文より
【目次】
序章時空を超えて共振する
音によって感情を共有/文明を「編集」した孔子/「よこしまな思いのない詩」とは/知の『詩』、情の『楚辞』他
第一章陸游、絶望のなかのユートピア
泡沫のユートピア/千年前の溜め息/きっといつかは桃源郷に/むなしさを埋めるための九千首他
第二章漱石、東洋的理想郷への希求
江戸の終焉とともに/不連続の連続/死を意識して/「隠逸」という理想/「則天去私」へと続く道他
第三章杜甫、生きるためのラブレター
五言絶句の奇跡/四千年に一度の出会い/破壊された長安で/漢詩の原点他
第四章蘇東坡、「楽しむ」へのこだわり
左遷と豚肉/文人一家と保守・革新の攻防/「所有」を問う/文人の願い他
第五章河上肇、共産主義と挫折と
共産主義という理想/ユートピアはどこにある/社会を変革するか、社会から逃げるか他
終章古代中国の「心」を探る
数学との共通点/書き捨てる文とは違って/音を並べる技「平仄」/意味を深める技「対句」他
【著者】
山口謠司
中国学研究者(専門は文献学、書誌学、日本語史など)、博士(中国学)、大東文化大学名誉教授、中国山東大学客員教授。1963年、長崎県に生まれる。イラストレーター、書家としても活動している。
著書に、『妻はパリジェンヌ』(文藝春秋)、第29回和辻哲郎文化賞を受けた『日本語を作った男―上田万年とその時代』(集英社インターナショナル)、『ん―日本語最後の謎に挑む』(新潮新書)、『唐代通行『尚書』の研究―写本から刊本へ』(勉誠出版)、『文豪の凄い語彙力』(新潮文庫)などがある。