abさんご
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2.7 • 39件の評価
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- ¥950
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発行者による作品情報
「途方もないものを読ませていただいた」──蓮實重彦・東大元総長の絶賛を浴びて早稲田文学新人賞を受賞した本作は、75歳の著者デビュー作。昭和の知的な家庭に生まれたひとりの幼子が成長し、両親を見送るまでの美しくしなやかな物語である。半世紀以上ひたむきに文学と向き合い、全文横書き、「固有名詞」や「かぎかっこ」「カタカナ」を一切使わない、日本語の限界に挑む超実験小説を完成させた。第148回芥川賞受賞作。小説集『abさんご』より表題作のみ収録。
APPLE BOOKSのレビュー
第148回(2012年下半期)芥川賞受賞作。芥川賞史上初となる全文横書きの作品となる。幼い頃に母親を、そして38年後に父親を亡くした子どもの記憶を描いた物語。この作品が実験作、前衛作と言われるゆえんは、横書きであることをはじめ、句読点がコンマとピリオドであり、固有名詞も「わたし」などの一人称も、時間軸すらないところにもある。「わたし」は代わりに「小児」「しけんじゅんびちゅうの十七さい」「受像者」といった言葉に次から次へと言い換えられ、その文体は例えば「(中略)ふたりだけというじょうきょうでつくられたじぶんに淫しきっていて(中略)」など、ひらがなを多用した長いセンテンスからなる。そして「へやの中のへやのようなやわらかい檻」など、一言“蚊帳”という既存の単語を使えば済むものにも多くの言葉を用いるなど、あえて意味を読み取りづらくさせているため、読み手を選んでしまう作品だ。しかしまるで日本語の概念を覆そうとするかのように言葉を選び積み重ね、徹底的にこだわり抜いたにもかかわらず決定的に曖昧な言葉の連なりは詩的で、なんだか水の底から眺めているようなもどかしさと、そこはかとなく漂うような感覚を覚える。