AIの遺電子 1

APPLE BOOKSのレビュー

人間の医師がヒューマノイドの治療をする世界を描いた、近未来医療オムニバス。ヒューマノイドが日本の人口の1割を占めるようになった22世紀後半。ヒューマノイド専門医、須堂光の下に、ある男から「裏」の診察依頼が届いた。患者は、違法な人格バックアップが原因でウイルスに侵された男の妻。バックアップは果たして本人なのか、家族は葛藤する。AIならではの「新たな病」と医師の姿を温かなタッチで描いた話題作で、2023年夏にアニメ化。人間とAIが当然のように共存する、リアルな近未来描写にはっとさせられる。クールで頭脳明晰（めいせき）な上、闇医者の顔も持つ須堂がとにかく魅力的。ニヒルな態度の奥底で、静かに燃える情熱に胸打たれるだろう。