最良の嘘の最後のひと言
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- ¥650
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発行者による作品情報
検索エンジンとSNSで世界的な成功を収めた企業・ハルウィンには、超能力研究の噂があった。それを受け、ハルウィンはジョーク企画として「4月1日に年収8000万で超能力者をひとり採用する」という告知を出す。そして審査を経て、自称超能力者の7名が3月31日の夜に街中で行われる最終試験に臨むことに。ある目的のために参加した大学生・市倉は、同じ参加者の日比野という少女と組み、1通しかない採用通知書を奪うため、策略を駆使して騙し合いに挑む。『いなくなれ、群青』、〈サクラダリセット〉の著者が贈る、ノンストップ・ミステリ。/解説=大森望
APPLE BOOKSのレビュー
アイデアに満ちた自由自在な発想力で何気ない日常をも輝かせる、ミステリー作家・河野裕の意欲作「最良の嘘の最後のひと言」。高額報酬で超能力者を募集するという、ジョークのような求人に殺到した約2万人の応募者。選抜された7人の男女がそれぞれの思惑を胸に "最終試験" へと挑む。物質をコピーしたり、敵に幻影を見せたり、ユニークな特殊能力を駆使し、"採用通知書" を奪い合う個性豊かな登場人物たち。6時間というタイムリミットの中で、駆け引きや協力、時には裏切りながら、敵味方が目まぐるしく入れ替わる頭脳戦は緊張感に満ち、最後まで息をつかせない。市街を駆け巡るカーチェイスといった、手に汗握るアクションシーンも物語を盛り上げる。唯一正体を明かされない参加者、ゲームを操る真の首謀者など、次々と浮かび上がる謎。判明する事実もすぐさま否定され、行き先の見えないジェットコースターのようなスリルと共に、読者は驚愕のエンディングへと導かれる。キャラクター同士のウィットに富んだ軽快な会話も魅力。