失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私
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発行者による作品情報
忽然と姿を消した人気コラムニストの約17年ぶりの新刊は、愛と笑いに溢れた120%ポジティブ闘病記!
2009年11月、頭に激痛が走り「くも膜下出血なので今すぐ開頭手術を」と診断されたのに、手術を拒否して病院から帰宅。1週間後に手術を決意し受けたところ、くも膜下出血とは別の箇所で脳梗塞を発症、左脳の1/4が壊死して、目覚めたときには、利き手だった右手に麻痺がでて「お母さん」「わかんない」の2語しか話せなくなっていた……。
1987年に『週刊文春』で「おじさん改造講座」の連載をスタートさせて以来、高速タイピングで小気味よい文章を次々と生み出してきたコラムニストが「言葉」を失う。そんな悲劇的な状況でも「絶望してもしょうがない」と明るく受け止めて、家族や友人、医師、言語聴覚士、理学療法士らに支えられながら、日々を楽しみつつ前向きにリハビリを続け、再び長い文章が書けるようになるまで。
「いずれ本を書くときの資料になるはずだ」と、カセットテープに録音しておいた手術前後の家族との会話、夫の当時の日記、実際の脳のMRI画像、担当の医師や言語聴覚士、理学療法士に著者本人が取材して得た証言を織り込んで、失語症になった当事者自らがパソコンのキーボードを一文字一文字打って綴った渾身のノンフィクション。
表紙の「脳みそちゃん」の製作は、人気ぬいぐるみ作家、片岡メリヤスさんが担当。
APPLE BOOKSのレビュー
人気コラムニストの清水ちなみが、脳梗塞で失語症となった自らの闘病期の連載を作品化した『失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私』。子ども2人の子育てとさまざまな媒体での原稿執筆で多忙な著者が雷に打たれたような激しい頭痛に襲われたのは46歳の時。それよりも前に起きたいくつかの体のサインに気付きながらも、見て見ぬふりを続けてしまった結果、破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血で生命の危機に。左脳の4分の1が損傷し、大手術の末、言語と右手の機能に大きな障がいが出てしまう。出てくる言葉は「お母さん」と「わかんない」の2語のみ、言いたい言葉が出てこない重い失語症だけでなく、使い慣れたものの使い方も分からなくなってしまうという他の認知機能の症状も重かった著者のリハビリの日々は、普通であれば絶望してしまいそうな状態であるのに、なぜかとても明るくポジティブだ。手術前後に家族との会話を録音したテープ、夫の日記、その後自らが周りの人々へ行った取材など、事細かにつづられた記録から見えるのは、家族との絆、そして著者の前向きな姿勢。同じような脳疾患を抱える人や家族だけでなく、誰にでも起こりうる病気だからこそ、作品に出会ったすべての人々に勇気を与えてくれる。