地下鉄道
-
-
3.8 • 4件の評価
-
-
- ¥1,200
-
- ¥1,200
発行者による作品情報
過酷な境遇を逃れ、自由が待つ北部をめざす奴隷少女コーラ。しかしそのあとを悪名高い奴隷狩り人が追っていた。傑作ついに文庫化 解説/円城塔
APPLE BOOKSのレビュー
抑圧的な制度が世の中を支配する19世紀のアメリカを舞台に、自由と平安を求めて逃走を続ける少女コーラの壮絶な運命を描く、ピュリツァー賞受賞作「地下鉄道」。史実をベースに、逃亡者を手助けした実在の秘密組織"地下鉄道"が本当に地下を走る鉄道だったら、というフィクションを交えることで、差別にあらがう人々の物語に新たな視点を生み出している。商品のように取引される人々や、主人に仕えて労働に明け暮れる農園での生活など、コーラの眼を通して描かれるのは、当時の過酷な社会状況。奇想に満ちた設定ながらも、逆境の中で生きる人々の声や彼らを取り巻く時代背景を圧倒的な熱量で丹念に描写することで、真に迫る物語として読者に訴えかけてくる。肉親や仲間を亡くしたり、裏切りに遭うなど、どんな困難を前にしても常に生きることを選択して、エネルギッシュに道を切り開いていくコーラ。彼女の力強い意志と生命力に何度も心動かされる。緊迫感に満ちた激動のストーリーに打ちのめされながらも、読後にはあらためて歴史に向き合いたくなる作品。