鈴波アミを待っています
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4.5 • 2件の評価
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
「鈴波アミ」というVtuberがデビュー1周年を迎えた夜。しかし、待望の配信は始まらなかった。鈴波アミは突如失踪してしまったのだ。視聴者たちは彼女の復帰を信じ、1年間の配信アーカイブを同時視聴して待ち続けるが……ネット文化が生んだ感動のストーリー
APPLE BOOKSのレビュー
デビュー1周年を前に、突如失踪した人気Vtuberの鈴波アミ。彼女の復帰を信じて待つファンたちの姿を通じて、2010年代後半から2020年にかけての時代感覚が鮮やかに描き出される異色作だ。作者の塗田一帆は、かつて自身もVtuber、動画編集者として活動していた経歴を持つ。シーンの内実を詳しく知る作者だからこそ、バーチャルが急速に身近になった時代のリアルな描写が可能だったのだろう。舞台は2020年、パンデミックの閉塞感がじわりと日常を侵食し始めていた時期だ。物語は同年2月の鈴波アミの失踪で幕を開け、彼女との思い出を回想するとあるファンの目線で進んでいく。VR、アバター、生配信、手のひらサイズのSNS、“推し”と“ガチ恋”といったタームと共に、当時のウェブカルチャーが生き生きと再現されている。そのディテールの細かさ、情報密度は、ある種アーカイブ的ともいえるもの。そこには、Vtuberの活躍と意義を歴史として正確に刻みたいという作者の願いのようなものを感じる。フィクションとしてはもちろんのこと、Vtuberが可能性に満ちていたあの時代のドキュメンタリーとしても読めるのが、本作のユニークさかもしれない。