迂回
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- ¥3,000
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発行者による作品情報
ゴンクール賞候補作。謎の多い夫婦旅行を描く文芸スリラー
妻と関係修復のためにシチリア島タオルミーナを訪れたメルヴィルは、レンタカーで宿に向かう途中「何か」に衝突する。事実から目を背け、最悪の選択を重ねる男の行く末は。陰気で、不穏で、スリリング……ジョルジュ・シムノンの後継者と名高い著者が放つ怪作。
APPLE BOOKSのレビュー
関係修復のためにシチリア島を訪れた夫婦の悪夢のようなバカンスを描く『迂回』。不仲になった妻ルイザに太陽がきらめく旅をプレゼントしようとしたメルヴィルは、1週間のバカンスを過ごすべく夫婦でシチリア島にやって来た。空港に降り立ち、レンタカーでタオルミーナのホテルを目指すメルヴィルは、ルイザに海を見せようと思いつき、高速道路を降りてしまう。結局ビーチにたどり着けず、日没とともに雨が降り出す中、未舗装道路をひた走る車に何かが衝突する。ルイザの心配をよそに、車から降りず、何と衝突したかも確かめずに発進したメルヴィルは、翌朝フェンダーのへこみに気付き、ひそかにレンタカーを修理に出す段取りを付けるが、ひき逃げ事故の新聞記事を目にする…。バカンスの「成功」に固執し、目の前をやり過ごすことに汲々(きゅうきゅう)とした結果、泥沼に陥る主人公メルヴィルの心の内は、ほとんどダークコメディの域に達している。地元警部が妻の日記から読み取る夫像との乖離(かいり)も絶妙で、人間の内面の滑稽さと不誠実をあぶり出す。ぎくしゃくした夫婦仲と不穏なストーリーがリンクする、奇妙でオフビートなスリラー。