マイボディ・オン・ザ・ムーン 上
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5.0 • 1件の評価
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- ¥2,400
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発行者による作品情報
2024年、月の裏側で発見された頭部のない数十体の遺体。
それは、人類に大いなる変革をもたらす――
月の裏側で見つかった、首のない数十体の遺体〈ルナ・ボディ〉。各国の思惑渦巻くなか、中国のスパイ・楊張敏、タイの脳科学者ジャム、IT黎明期の実業家アレクサンダー・コーツ、車椅子の少女ミントの人生をも巻き込み、人類文明の運命は大きく変わっていく
APPLE BOOKSのレビュー
単独の主人公として初めて女性を選んだ、村上春樹の3年ぶりの長編。「正直いって、君みたいな醜い相手は初めてだよ」。26歳の絵本作家、夏帆は初対面のデートで会った男、佐原にそう告げられた。その日を境に、夏帆の周りで次々と不思議な出来事が起こり始める…。親切なありくいの奥さん、残忍なジャガー、モーターサイクルの男、ずる賢く冷酷で身勝手なシロアリの女王、刃物の研磨専門店「とぎや」の孤独な主人など、奇妙なキャラクターと夏帆がやりとりする幻想譚でありながら、武蔵境や浦和といった実在の郊外都市が登場し、寓話(ぐうわ)性と現実が侵食し合う。自分の顔を探しに行く少女、アマゾンのジャングルにいる仲の良いありくいの夫婦、深い森で迷った女の子ミソラの冒険など、夏帆が作中でつづる絵本の物語が絶妙な距離感で小説と入れ子構造になる構成も秀逸。成長した娘による「母殺し」というモチーフを描きながら、最終章で母親から引き出した言葉と共に、物語のキャラクターを思い浮かべて涙する夏帆の姿は、善き物語を読み終えた読者の寂しさと重なる。老境に入っても新鮮な、村上春樹の新たな代表作。