声の物語
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発行者による作品情報
近未来のアメリカ、すべての女性は一日100語以上喋ることを禁じられた。その中で怒りを抱えながら夫と子供たちと暮らす認知言語学者のジーンの生活に、ある日転機が訪れる。声を、愛を、創造を奪われた女たちを描く、いまこの時代に読むべきディストピア物語。解説収録/丸屋九兵衛
APPLE BOOKSのレビュー
短編小説の新たなムーブメントとして、アメリカを中心に提唱されているフラッシュフィクション(超短編小説)。その名手クリスティーナ・ダルチャーによる長編小説デビュー作。舞台は近未来アメリカ。バイブルベルトと呼ばれるキリスト教篤信地帯が全土を覆ったその地では、"ピュアムーブメント"の結果、すべての女性が献身的で従順な妻でいるために、腕に"ブレスレット"と呼ばれる電気ショック利用型沈黙強制装置をつけられている。1日の語数は100までと定められ、上限を破れば失神するほどの強い電流で罰される。話すことはおろか、文字を書くことやジェスチャーすら禁じられ、その姿は常にカメラで監視される世界。貞淑な専業主婦として夫と4人の子どもたちと暮らすことを強いられた認知言語学者のジーンは、悪夢に泣き叫ぶ我が子をなぐさめる言葉すら奪われた現状に激しい怒りを感じていた。胸をよぎるのは、反ピュアムーブメント運動を見て見ぬふりを続けてきた過去の自分への後悔ばかり。そんなある日、ジーンのもとに政府高官が訪れ、意外な取引を持ちかけるが…。政治と宗教の癒着やネット上にまん延する女性蔑視の風潮など、現代アメリカの生々しい実相を想像力豊かな物語からあぶり出す、センセーショナルな作品。