水と礫
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3.5 • 2件の評価
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- ¥1,500
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発行者による作品情報
東京でのドブ浚いの仕事中の事故をきっかけに故郷へと戻ったクザーノは、砂漠のむこうの幻の町へ旅立った――回帰する灼熱の旅が、一族の風景を映し出す。第57回文藝賞受賞の一大叙事詩。
APPLE BOOKSのレビュー
東京と、広大な砂漠の先にある架空の街に生きる、ある家族の数世代にわたる風景を描いた藤原無雨のデビュー作『水と礫』。主人公のクザーノは東京でのドブ浚(さら)いの仕事で同僚に大けがを負わせてしまい、故郷の街へと帰ってくる。そして弟分の甲一が向かった砂漠の先を目指し、自らもラクダのカサンドルと共に未知の街へと旅立つ。物語は「1」「2」「3」と流れ、そしてまた「1」に戻ってと、無限のループのように同じ物語が繰り返されながら、少しずつ時間と空間、クザーノの息子や孫、父や祖父の物語が広がっていく。この実験的な物語の構成からは、作者が好きだというガルシア=マルケス『百年の孤独』が連想され、ラテンアメリカ文学の自由で幻想的なマジックリアリズムの手法が生かされている。新幹線、中華料理屋、ライター、ルームシェアと現代の日本の日常世界の中に、砂漠の向こうの神話的な世界が混在する不思議な世界観を丁寧に描写しながら、淡々とした語り口で一族の風景の重なりを映し出す一大叙事詩は、新鮮な感覚をもたらす屈指の純文学だ。