JR上野駅公園口
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発行者による作品情報
一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――東京オリンピックの前年、出稼ぎのため上野駅に降り立った男の壮絶な生涯を通じ描かれる、日本の光と闇……居場所を失くしたすべての人へ贈る物語。
APPLE BOOKSのレビュー
昭和8年、福島県相馬郡で上皇陛下と同じ誕生日に生まれた一人の男。その悲しい人生を通じて、日本の苦い戦後史が浮かび上がる物語。2020年の全米図書賞(翻訳文学部門)受賞作。東北地方の出身者にとって東京の玄関口となる上野駅公園口に、男は2度降り立った。1度目は1964年の東京オリンピックに向けた建設業の出稼ぎ労働者として、2度目は帰る場所のないホームレスとして。子どもに顔を忘れられても、家族のために必死に働き、帰郷するのは盆と正月だけの日々。だが、現在の天皇と同じ誕生日に生まれ、その幼名にちなんで名付けた息子の浩一は21歳の若さで亡くなった。それでも60歳まで出稼ぎで働き、老後は郷里で夫婦水入らずで暮らすはずだった男に、再び悲劇が訪れる…。天皇とあまりにも対照的な一人の男の目を通し、日本社会の闇と光が描かれる。関東大震災や東京大空襲、皇族が訪れる前にホームレスを追い出す“山狩り”など、時空を超えて上野恩賜公園で起きる出来事。東日本大震災で命を失くした人々と、帰るべき家を失ったホームレス。これらを俯瞰(ふかん)で描き、死者の思いに耳を澄ました、祈りの一冊。
カスタマーレビュー
こくなし
、
本当に家を出ざるを得なかったのか。
非常に馴染み深い上野公園と福島県浜通りが舞台。
章分けがなく、生い立ちと現在とがコロコロ転換して読みづらく感じましたし、何より最後のバッドエンドが分かりきっているだけに読み進めるのに躊躇してしまいました。
運が悪かったというより、ホームレスになったのはその選択を自ら選んだとしか思えないため、何とかなったんじゃないかと思わざるをえません。なんとも。