P+D BOOKS 親鸞 1 叡山の巻
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発行者による作品情報
浄土真宗の創始者・親鸞。苦難の生涯を描く。
弾圧、非難と闘いながら、浄土真宗を創始し、あくまでも人間として生き抜いた親鸞の苦難の生涯を描く大作。
人心は乱れ、荒廃しきった平安末期、時の権力と結託した宗教界の腐敗、形式化は止まることを知らなかった……。
皇太后宮大進・日野有範の長男として京都日野に生まれた松若麿(親鸞)は、やがて比叡山に上り、出家して範宴(はんねん)と名乗る。
やがて民衆を救う真の仏の道は南都北嶺の諸大寺にはなく、俗聖の中にこそあると考えるようになった範宴は、苦悩の末、山を下りる決意を固める。
親鸞の苦難な生涯を壮大なスケールで描く4部作の第1巻。
APPLE BOOKSのレビュー
同人誌「文学者」を主宰し、瀬戸内寂聴らを育成した昭和の大作家、丹羽文雄が浄土真宗の開祖である親鸞の生涯を描いた小説「親鸞 1 叡山の巻」。5巻から成る大作で、この巻では幼くして両親を亡くし、9歳で出家した親鸞の生い立ちと、約20年間続いた比叡山での修学の日々がつづられている。修行中に異性に恋心を抱いたり、貴族趣味に傾倒していた鎌倉時代の仏教の在り方に疑問を持ったりと日々葛藤する親鸞の姿は、恋愛や仕事で一喜一憂する現代人と変わりなく、共感する人も多いはず。著者は三重県四日市の浄土真宗の寺の住職の子として生まれ、一度は僧職に就く。しかし文学の道を諦められずに上京し、私小説や恋愛小説の名手として名を馳せた後、宗教人をテーマにした作品を執筆するようになる。1969年に上梓された今作は、約半世紀前に紡がれたものながら古びることなく、読みやすい。それは、富める人も貧しき人も念仏を唱えれば極楽浄土に行けると説き、多くの民や弟子に愛された親鸞という人物の魅力によるところが大きいだろう。僧であり作家でもあった著者の目を通し、いきいきと描かれた親鸞像にぜひ触れてほしい。