こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち
-
- ¥850
-
- ¥850
発行者による作品情報
大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞ダブル受賞作! ボランティアの現場、そこは「戦場」だった――。筋ジストロフィーと闘病する鹿野靖明さんと、彼を支える学生や主婦らボランティアの日常を描いた本作には、介護・福祉をめぐる今日的問題と、現代の若者の悩みが凝縮されている。単行本版が刊行されてから10年、今も介護の現場で読み継がれる伝説の作品が増補・加筆され堂々の復活!
APPLE BOOKSのレビュー
全身の筋肉が徐々に衰えてゆく、進行性筋ジストロフィーの患者と彼を取り巻く人々との交流を等身大の目線からつづった「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」。本作が初の著書となるフリーライターの渡辺一史は、ボランティアとして自立生活を送る男性を約2年半にわたってサポート。関係者へのインタビューだけでなく、著者自身が介助に携わる様子がルポルタージュ形式によって描かれているため、現場の雰囲気を臨場感をもってリアルに感じることができる。時に介護の方向性を巡って人々が対立する緊迫した場面があり、その一方で、思わず微笑んでしまうユーモラスなシーンが展開されるなど、豊かな人間ドラマが読む者の心をつかんで離さない内容となっている。目の前の現実は過酷だが、決して悲観すべきことばかりではないという、人生に希望の灯をともしてくれる描写の数々にも胸が熱くなる。福祉という課題と向き合うための手掛かりになるとともに、読むたびに生きることの素晴らしさを発見できる。