悪魔は涙を流さない
カトリックマフィアvsフリーメイソン
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Publisher Description
赤い「賢者の石(ラピス・フィロソフォールム))」の錬成には、舞い上がる「アルベド(白化体、知者の石(ラピス・エールディートゥロールム))」が必要だが、しかし、それを得るためには、その前に重く暗い「ニグレド(黒化体)」の状態をうまく潜り抜けなければならない。
錬成を試みていた修道士くずれのその男は、実験中の事故で、自分自身が黒い石のニグレドになってしまった。それどころか、同じように錬成を企んでいる妙な連中たちが彼の周辺に群がってきて、彼が錬成の素材として追われる立場になってしまう。
そんなごたごたに、マニアックな田舎学者、古宮たちはまた巻き込まれた。いかがわしい投資話にカネをつぎ込んでしまった大学が左前になって、その資金の即時回収を命じたのだ。だが、ヨーロッパに来てみれば、その話の周辺には、正体不明の有象無象が蠢いていた。古宮らは、その源泉となる近世フリーメイソンの数多くのロッジの興亡と暗闘を歴史に忠実にたどっていくうちに、そこに巧妙な錬金プロジェクト、傭兵・阿片・新大陸を使ったトリックがあったことを発見し、すべてを知る伝説の「洗礼者聖ヨハネの首」と、それを持ち去ったとされるナポレオンの謎を追う。
しかし、これらは、たんに過去の話ではなかった。現代の経済格差、宗教離れ、暴動頻発を根本的に永久解決する「商品」の鍵として、連中は、ニグレドとなった堕修道士と、それを扱える現代の「錬金術師」、遺伝子操作学者ドロン博士を探しており、古宮たちこそ彼らの行方を知っているに違いないと決めつけて追い回し、ここにまたCIAの間抜けな教授や国際ファンドの総帥が絡んで、いよいよ厄介なことになっていく。
逃げ回る堕修道士、それを探す古宮たち、そして、彼らを追う怪しげな連中。ローマからスイス、ヴェネチア、パリ、インスブルック、マインツ、そして、ノルマンディーへ、二百億円分の万札を満載したおんぼろバンを爆走させ、古宮たちは夏至間近のヨーロッパを駆け巡らなければならなくなってしまった。
現代と過去、そして近世。最新の情報と厳密な史実に基づいて構成され、複雑に張り巡らされた伏線が、読者を真夏のヨーロッパの影の暑い旅に誘う。千ぺージを超えるこの知の巨大迷宮を、あなたは読み解くことができるだろうか。