手袋を買いに 朗読付
Publisher Description
「手袋を買いに 朗読付」
新美南吉(にいみ なんきち、1913(大正2)年〜1943(昭和18)年)の書いた童話です。
狐の親子が、人間の町に手袋を買いに行きます。
長く小学校教科書に採用され、親しまれました。
朗読音声付きブックです。
縦書きで、すべての漢字にふりがなを振りました。
朗読は、尾張地方ネイティブで、宅録です。
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「お母(かあ)ちゃん、お手々(てて)が冷(つめ)たい、お手々(てて)がちんちんする」と言(い)って、濡(ぬ)れて牡丹色(ぼたんいろ)になった両手(りょうて)を母(かあ)さん狐(ぎつね)の前(まえ)にさしだしました。母(かあ)さん狐(ぎつね)は、その手(て)に、は――っと息(いき)をふっかけて、ぬくとい母(かあ)さんの手(て)でやんわり包(つつ)んでやりながら、
「もうすぐ暖(あたたか)くなるよ、雪(ゆき)をさわると、すぐ暖(あたたか)くなるもんだよ」といいましたが、かあいい坊(ぼう)やの手(て)に霜焼(しもやけ)ができてはかわいそうだから、夜(よる)になったら、町(まち)まで行(い)って、坊(ぼう)やのお手々(てて)にあうような毛糸(けいと)の手袋(てぶくろ)を買(か)ってやろうと思(おも)いました。
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*目次*
├手袋を買いに
│├寒い冬が北方から、狐の親子の棲んでいる森...
│├暗い暗い夜が風呂敷のような影をひろげて野...
│├子供の狐は、町の灯を目あてに、雪あかりの...
│├「お母さんは、人間は恐ろしいものだって仰...
│└お母さん狐は、心配しながら、坊やの狐の帰...
├付録 連続再生
└底本などに関する情報