【朗読音声付】トロッコ
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●プロのナレーターによる朗読音声付書籍
トロッコで土を運搬する――ただそのことが面白くて良平は毎日鉄道敷設の工事を見に行っていた。
ある日工事場を眺めていると、二人の若い男がトロッコを押して登って来た。良平はトロッコを押す手伝いをさせてもらえることになる。線路の勾配がゆるくなると、「もう押さなくとも好い」と今にも云われるかと良平は内心気がかりでならない。
トロッコは蜜柑畑や竹薮を抜け、何時か周りは雑木林になった。良平は、余り遠く来過ぎた事が、急にはっきりと感じられた。日が暮れかかりさっきまでのような面白い気持ちにはなれず、「もう帰ってくれれば好い」と念じるが土工は茶店に入り悠悠とお茶を飲み始め…。