ありす、宇宙までも(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

バイリンガル教育の途中で両親を亡くし、どちらの言語も十分に習得していない少女が、天才少年との出会いを機に日本人初の女性宇宙飛行士船長を目指す。マンガ大賞2025受賞作。学校の人気者、朝日田ありすはバイリンガル教育の挫折で日本語すら拙く、会話や授業についていくことができない。傷心を笑顔の裏に隠してやり過ごしていたありすの真実を見抜いた神童、犬星類は、彼女にあるプロジェクトを持ちかける。“親ガチャ”という概念がはびこる現代に、「自分の力で未来を変える」という力強いメッセージを放つ意欲作。痛みや色彩すら表現できないありすを通して、言語が人間にもたらす影響力に衝撃を受けるだろう。彼女が語る「知ること」の純粋な喜びや、孤児だった犬星の切実な向学心に触れるたび涙が込み上げ、2人を応援せずにはいられなくなる。人と人とのつながりが優しく丁寧に描かれ、家族みんなで楽しめる成長物語だ。