君と宇宙を歩くために(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

ヤンキー少年と変わり者の転校生の友情から始まる青春ヒューマンドラマ。勉強もバイトも苦手なヤンキー、小林大和のクラスに宇野啓介が転校してきた。ピンチを救われ宇野と話すようになった小林は、彼の奇妙な行動の意味を知り自分も変わりたいと決意する。緩く楽しげな男子高校生の友情を通して「普通」とは何かを鋭く問いかける傑作。マンガではおなじみのヤンキー少年だけれど、彼らがなぜドロップアウトするのかを丁寧に描く作品はほとんどない。生きづらさや多様性というテーマを扱いながらもキャラクターに華があり、爽快な読後感を味わえるのも魅力だ。壁にぶつかるたび成長していく小林と宇野の姿に、負けてはいられないと勇気が湧いてくる。