ある行旅死亡人の物語
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
はじまりは、たった数行の死亡記事だった。警察も探偵もたどり着けなかった真実へ——。
「名もなき人」の半生を追った、記者たちの執念のルポルタージュ。ウェブ配信後たちまち1200万PVを獲得した話題の記事がついに書籍化!
2020年4月。兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死した。現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑鑑......。記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出す。舞台は尼崎から広島へ。たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは?
「行旅死亡人」が本当の名前と半生を取り戻すまでを描いた圧倒的ノンフィクション。
APPLE BOOKSのレビュー
多額の現金を残して孤独死した女性は、一体誰だったのか。名もなき市井の人の人生を社会部記者が追い、ウェブ連載で反響を呼んだ記事を書籍化した、胸を打つルポルタージュ。行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは、身元不明で引き取り手のない遺体を指す法律用語。2020年4月、兵庫県尼崎市のアパートで高齢の女性がひっそりと亡くなった。およそ40年も同じ住居に住んでいた彼女の名前「田中千津子」に該当する住民票や戸籍はなかった。さらに金庫には3,500万円近くの現金があり、右手指はすべて欠損していた。行旅死亡人として官報に載った彼女に興味を引かれた平成生まれの記者2人組は、警察も見つけられなかった故人の身元を捜し出す。部屋に残された「沖宗」という広島に多い名字の印鑑から、家系図作りのブログにたどり着き、次第に身元が明らかになる取材過程が興味深い。一人の女性の人生の痕跡をたどることで、その存在が立ち上り、彼女が生きた時代までもが驚くほど目に浮かぶ。消えゆく時代へのレクイエム。誰もがかけがえのない人生の物語を生き、やがて死んでいく。犬のぬいぐるみを後ろ手に持つ女性の後ろ姿を描いた表紙のイラストも切ない。
カスタマーレビュー
今後に期待
良いと思います、ミステリー感覚で読めました。
読後、この本の実績があれば、新たな証言や追加取材でもっと厚みのある内容に更新されるのではと期待の反面、闇が深そうなのでこの記者にはまだきびしいか、デスクが面倒か、主人公も成長するか、などなど小説とは異なる後味だったので◎
リアリティ
小説にはないリアリティ。やはりそこにつきます。多くの人の創造の上に立つミステリーよりも現実の織りなすミステリーは深い何かを呼び覚まします。