みどりいせき
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
【第47回すばる文学賞受賞作】
【選考委員激賞!】
私の中にある「小説」のイメージや定義を覆してくれた。――金原ひとみさん
この青春小説の主役は、語り手でも登場人物でもなく生成されるバイブスそのもの――川上未映子さん
(選評より)
このままじゃ不登校んなるなぁと思いながら、高2の僕は小学生の時にバッテリーを組んでた一個下の春と再会した。
そしたら一瞬にして、僕は怪しい闇バイトに巻き込まれ始めた……。
でも、見たり聞いたりした世界が全てじゃなくって、その裏には、というか普通の人が合わせるピントの外側にはまったく知らない世界がぼやけて広がってた――。
圧倒的中毒性! 超ド級のデビュー作!
ティーンたちの連帯と、不条理な世の中への抵抗を描く第47回すばる文学賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
若者言葉やオノマトペを散らした口語体の文章が、ヒップホップを背景とする独特のリズムで刻まれていくさまに最初は戸惑うかもしれない。しかし読み進めるうちに、これこそが令和の若者たちのヴァイブスの言語化なのだと気付かされる。新進作家、大田ステファニー歓人のデビュー作となる本作では、殺伐とした行為とささやかな愛が、薄暗さとほの明るさが表裏一体となった青春を浮き彫りにしていく。主人公の桃瀬は不登校になりかけの高校2年生。小学生の頃にバッテリーを組んでいた仲間と再会した彼は、あっという間に怪しい闇バイトに巻き込まれていく。特別な理由もなく、気が付いた時には世間の“外”に弾き出されていた桃瀬。しかし、彼らは悪しき存在になろうとして悪いことをしているわけではない。親に顔向けできないことをしながらも親を気遣い、いつ死んだって構わないとニヒルを気取りつつも、今日より少しましな明日を期待せずにはいられない。そんな10代の愚かさやナイーブさを伝える、なまぬるくも冷たくもない絶妙な温度感が新しい。時代の変化とともに、小説という表現フォーマットもアップデートされていくべきことを実践した作品。