



近畿地方のある場所について
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4.2 • 212件の評価
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- ¥1,500
発行者による作品情報
近畿地方のある場所にまつわる怪談を集めるうちに、恐ろしい事実が浮かび上がってきました。
カスタマーレビュー
怖すぎるのに読むのをやめられない
なるほどこれは流行る。
読者を怪談に巻き込む作品はムラサキカガミやてけてけ、リングなどがあるが、この作品は巻き込まれる側が心地よく怖がることができる絶妙なラインを攻めてくるので、実にお手本的というか、見事だ。
この物語を読んだあなたの元に何かが起こりますとか、何かがやってきますという形式の話は、匙加減が難しい。たとえば何十年後に幽霊が現れるという話は読者が記憶が薄れるまで怖がらなければならないから敬遠されがちだし、かといってあまりにすぐに幽霊が訪問するという設定にすると、それはそれで何も起きなかった時に妙なガッカリ感がある。
この作品はそのあたりを上手く設定していて、この話は本当なんじゃないのか、自分も巻き込まれてしまったんじゃないのかと信じつつも、それでもどこか満足感があって、読んでよかったなと思える面白さ、心地よさがあった。
こういう匙加減を上手にできる作家はけっこう少なくて、その点でもこの作品は怪談として理想的な、痒い所に手が届く、良作と言える。
作中の雑誌記事やネット掲示板の書き込み、インタビューの体裁がリアルで没入感が得られ、怪異に対する考察が楽しく進むし、提示される情報になるほどと膝を打ちながら最後まで楽しく読むことができた。
この怪異は幽霊なのか?都市伝説の怪物なのか?それとも全く違う何かなのか?断片的な情報が少しずつ積み重なってリンクし、まとまった出来事と流れに収束していく構成が見事だ。
不気味で不条理な出来事、言葉が、情報を得た後では細くも鋭い説得力を内包してくる。あの時のあれは、こういうことだったのか。このセリフはこんな背景があったのか。ああ、このキャラクターはこうなって当然のことをしてしまっていたのか。これは当然の帰結だったのか。そんな風に過ぎ去ったイベントを思い返し、改めて理解できるのが楽しかった。
ホラーでありながらミステリーでもあり、小説のギミックを最大限に活用した良質のエンタメだった。
個人的にはネット掲示板の体裁の箇所が臨場感があり怖かった
実際にああいう安価スレを見た人、リサーチした人にしか書けない形式で、リアリティという面ではこれ以上ないそれがあった。
どこか80年代90年代の空気を感じる箇所があり、しかもその空気が本当にリアルに再現されていて、怪異と呪いの歴史を感じさせるのもこの作品の怖さの源泉の一つだと思う。
とにかく全てがリアルなのだ。実際事実かもしれないと思う心があってレビューを書きながら時々後ろを振り返っている自分がいる。
エピソードに出てくる人々の話もどこか等身大の生活感があって、生身の人間の温度を感じる。それがまた緊張感を生んで、心地よい。完全に受け身のホラーではなく、読者が色々と考えを巡らせたり考察したりできる、ある種の冒険のできる本だと思う。
最後に収録された資料もよくできていて、不気味で恐怖の後を引く。いかにもな怪異的資料ではなく現実感を纏ったものであるがゆえに、目が釘付けになった。
全てがノンフィクションであったならと想像すると怖すぎるので、よくできたフィクションという前提で感想をネット上に書いている人が多いのではないかと思う。
とても満足感のあるホラー作品だった。
まだ一読目だが、これは繰り返し読むことで新たな発見や感触が得られる本だと思う。この内容でこの値段は安い。本当にお世辞抜きでそう思う。エンタメとして非常に高品質で、よくぞこの才能を発掘したものだと思う。
新作の穢れた聖地巡礼と口に関するアンケートも評判が良いようなので購入しようと思う。
ホラー小説は昔から大好きだが、この作風は初めて出会った。
ところで、このアプリのこの本のレビュー欄には自分がこのレビューを載せるまで、モキュメンタリー系ホラー小説の形式についていけずに、ただの資料の寄せ集めにしか感じられず自分の読解力の無さを棚に上げ堂々と低評価をつけてるレビューしか無かったのもある意味恐怖ではある。
エッセイとも小説とも言えない資料やレポートを読んでいる感
エッセイとも小説とも言えない資料やレポートを読んでいる感じ。それ自体は問題ないのですが、それにしては結論が曖昧で意味があるのか無いのか良くわからない描写が多過ぎるのと、回りくどい展開が決して面白いとはいえませんでした。