アルテミス 上
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- ¥700
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発行者による作品情報
人類初の月面都市アルテミスで暮らす女性ジャズは、謎の仕事のオファーを受ける。それは月の運命を左右する陰謀へと繋がっていく……!
APPLE BOOKSのレビュー
「オデッセイ」のタイトルで映像化もされた「火星の人」で小説家デビューを果たした作家、アンディ・ウィアーのSF長編「アルテミス 上」。架空の月面都市アルテミスを舞台に、主人公のジャズが巨大な陰謀に巻き込まれていく。富裕層と労働者階級に二極化した社会の中、密輸などの裏稼業にも手を染めながら生計を立てるジャズ。活発で頭脳明晰、腕のいい溶接工である父親譲りの技術もあり、機転を利かせてあらゆるピンチを乗り越えていくタフな姿が痛快。月の重力に最適化した歩き方をはじめ、工場でアルミニウムから酸素を生み出したり、藻を育てて宇宙食として利用するなど、月での生活の詳細な描写にはリアリティがあり臨場感が増す。小さなミスが命取りになる宇宙空間を巧みに利用した緊迫感や、テンポのよい会話などスピード感のある演出も魅力。大金と引き換えにつかんだ大仕事を進めていくにつれて、依頼人の企みも次第に明らかになっていく。章ごとにつづられた、地球の友人ケルヴィンとの手紙のやりとりが下巻の思わぬ展開への布石となり、驚きの結末とつながっていく。