アンネの日記 増補新訂版
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- ¥950
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発行者による作品情報
「アンネは、死んでも私たちの心の中に生き続けているのです。そして、世界の歴史を変える存在になりました」(池上彰『世界を変えた10冊の本』より)
ユダヤ系ドイツ人の少女アンネが、ナチスの「ユダヤ人狩り」から逃れるため家族と共に二年間潜んだアムステルダムの“隠れ家”。彼女はそこで、架空の友人キティーに宛てて日記を綴りました。戦後、残された父オットー・フランクにより編集・公表されたこの「アンネの日記」は各言語に翻訳され、2009年にはユネスコ世界記憶遺産にも登録されました。わが国も同様で、1952年に「光ほのかに」のタイトルで文藝春秋より刊行されて以来、綿々と読み継がれています。
実は、アンネの綴った日記は二種類あります。アンネが自分のためだけに書いたものと、後の公開を期して清書したもの。そのふたつを編集し直した〈完全版〉をもとに、さらに1998年に発見された5ページ分を加えたのが本書〈増補新訂版〉です。尋常ではない環境の中で、13歳から15歳という思春期を過ごした少女の夢と悩みが、より瑞々しく蘇り、私たちの胸を打ちます。平和を愛し、誰かを愛するすべての人に改めて贈る、永遠不滅の一冊です。
APPLE BOOKSのレビュー
第2次世界大戦中、ナチス占領下のオランダで2年にわたり隠れ家生活を送ったドイツ系ユダヤ人のアンネ・フランクによる「アンネの日記 増補新訂版」。1947年に父親が日記を刊行、当時削除されていた記述を加えた完全版が出版されたのが1991年、さらに本書では1998年に発見された部分を加えている。日記はキティーという架空の友人に向けた手紙という体裁をとっており、親友に心の内を吐露するかのような筆致で、飾らないアンネ自身が描き出される。記述が隠れ家にこもる前から始まっているため、いかに自由を奪われたのかの過程や前後の対比も含め、当時の状況をよく伝えている。初めのうちは一変した暮らしを不自由ながらも楽しもうとするが、次第に家族をはじめ同居する人々との葛藤や、閉じられた空間による鬱屈などがない交ぜとなっていく心情の変化には胸が締め付けられる。同居人に対して辛辣なほどの批判的精神を発揮したり、ユーモアたっぷりにその日の暮らしぶりを紹介してみせるなど、彼女の多面性もよく写し出されている。2年余りにわたる成長の記録ともいえ、少しずつ大人びていく様子は微笑ましく、多感な10代前半の少女の姿が生き生きと浮かび上がる。