コードネーム・ヴェリティ
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4.0 • 1件の評価
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- ¥1,300
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発行者による作品情報
第二次世界大戦中、ナチ占領下のフランスでイギリス特殊作戦執行部員の若い女性がスパイとして捕虜になった。彼女は親衛隊大尉に、尋問をやめる代わりに、イギリスに関する情報を手記にするよう強制され、インクと紙、そして二週間を与えられる。その手記には、親友である補助航空部隊の女性飛行士マディの戦場の日々が、まるで小説のように綴られていた。彼女はなぜ物語風の手記を書いたのか? さまざまな謎がちりばめられた第一部の手記。驚愕の真実が判明する第二部の手記。そして慟哭の結末。最後の最後まで読者を翻弄する圧倒的な物語!
APPLE BOOKSのレビュー
ナチスドイツ占領下のフランスで捕虜となった英国スパイ・クイーニーと、彼女と行動を共にした親友の女性飛行士・マディの、戦時下における固い友情を描く冒険小説「コードネーム・ヴェリティ」。本書は囚われの身となったクイーニーがマディの生い立ちと思い出を綴った第1部、クイーニーが手記に込めた思いやマディの行方など驚きの事実が明らかになる第2部で構成される。厳しい尋問をこれ以上受けないための交換条件としてイギリスに関するあらゆる情報を書き出すことになったクイーニーの手記は、ふんだんに織り交ぜられたユーモアと軽快なテンポが2人の青春物語としての側面を際立たせるが、時々差し込まれる不穏な描写が読者の不安を掻き立てる。第2部では、人々の生活を翻弄する戦争の非情な現実がさらに生々しく浮き彫りにされ、よりいっそう2人の友情の美しさを輝かせる。物語中に巧みに織り込まれた伏線や謎が、堰を切ったかのように次々と明らかになる終盤の展開とスピード感も秀逸。著者はニューヨーク在住の児童書作家、エリザベス・ウェイン。自身も小型飛行機を操縦するという彼女ならではの、リアリティあふれるメカニックや飛行シーンの描写も見逃せない。