ローズ・アンダーファイア
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4.0 • 1件の評価
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- ¥1,400
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発行者による作品情報
1944年9月。英国補助航空部隊に所属する飛行士のローズは、戦闘機を輸送する途中でドイツ空軍機に捕まり、航空基地に連行された。そしてスパイの疑いをかけられ、主に女性を収容しているラーフェンスブリュック強制収容所に送られてしまう。飢えや寒さに苦しみながら、苛酷な労働に従事するローズ。地獄で見つけた支えあえる“家族”と生き延び、窮地を脱するための意外な方策とは――。MWA賞受賞作家が描いた、戦争に翻弄される女性たちの強い絆と闘い。日記や手紙で構成された、先の見えない展開の果てに待つ圧巻の結末が胸を打つ傑作。
APPLE BOOKSのレビュー
実在したナチスの収容所を舞台に、戦争の惨状を知らしめる歴史小説。第2次世界大戦中、イギリス補助航空隊所属のアメリカ人女性ローズは、戦闘機の移送中にドイツ軍に捕らえられ、スパイの嫌疑を受けてナチスのラーフェンスブリュック強制収容所に送られる。それまで戦争をどこかロマンチックに考えていたローズは、収容所での強制労働、過酷な寒さや飢え、そして理不尽な虐待に直面する。そこで同じ境遇の仲間たちと出会い、励まし合い、助け合いながら脱出を目指すローズ。全編、手紙や日記の形式でストーリーが進み、脱出後の再会や裁判なども描かれるが、戦争とは勝っても負けてもハッピーエンドなどないものだと痛感させられる。過酷な状況の中でも、女性として、人としての尊厳を保ち続けるローズの気高さに胸を打たれつつ、人を破壊してしまう戦争の愚かしさと恐ろしさが心に迫る。同じく大戦中の女性兵士を描いた前作『コードネーム・ヴェリティ』とリンクする部分もありながら、より分かりやすく共感しやすい内容となっている。