ソクラテス (Century Books―人と思想)
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- ¥850
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発行者による作品情報
「人と思想」は、世界の思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。一般の方々のハンディな教養書として、また学生・生徒の参考読物として、広く本書をおすすめします。
【Century Books】人と思想 3 ソクラテス
アテナイの彫刻師と、産婆の息子として生まれたと伝えられるソクラテスの回心をうながしたものは、デルフォイのアポロンの神殿にかかげられていた「なんじ自身を知れ」という格言である。弟子のカイレポンを通してソクラテスにもたらされた、「アテナイでソクラテス以上の賢者はない」とは、このアポロン神の言葉であった。それからのソクラテスは、「無知の知」の吟ぎん味み を生涯の使命とし、みずからを「アブ」にたとえ、「シビレエイ」にもたとえられたりして、「死命の思想」に生き、紀元前三九九年アテナイの牢獄で死刑になった。一冊の書物も残さなかったが、プラトンという偉大な弟子を生み、現在でも多くの人に語りつづけられている、「いかにしたらよく生きられるか」という問いを人類になげかけ、その答えを求めている不朽の哲人である。