アリストテレス (Century Books―人と思想)
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- ¥850
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発行者による作品情報
「人と思想」は、世界の思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。一般の方々のハンディな教養書として、また学生・生徒の参考読物として、広く本書をおすすめします。
【Century Books】人と思想 6 アリストテレス
学問は驚きから出発する。ごく身近の不思議な事象から、はるかに大きな宇宙の生成にいたるまで、すべての事象は人間に驚きの念を起こさせる。この驚きの念は無知を自覚させるに通じ、ひいて、人間は、無知を脱却するために知恵を愛求しはじめる。まことに「すべての人間は、生まれつき、知ることを欲する」のである。アリストテレスの生涯を貫くものは、この不屈の愛智の精神であった。かれはあらゆる領域で、現象を説明する原理を探究し、進んでそれらを統一する一つの観念を確立した。「現象は脈絡のない事件の生起ではない。万物は、その機能を通じて、永遠に活動する神的理性によって支配されている。世界はこういう生きた善美なる全体である」と。この一つの理性あるいは法則が支配するという観念、これこそ三千年の歳月を経てもなおわれわれに語りかけてくるギリシア的精神の真髄なのである。