ドイル傑作集 クルンバの悲劇
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4.3 • 8件の評価
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- ¥390
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発行者による作品情報
仏僧の呪いか、インド妖術者の奇怪な術。荒野にとざされたクルンバ館の秘密とは? 見えぬ復讐の魔手におびえて四十年、戦功赫々たるイギリス軍人の身に起る痛ましい悲劇。これは博識なドイルがインドの幽玄術を材料に取り入れて、驚くべき東洋の神秘的事象の存在を語った、興味深い長編ミステリーである。
APPLE BOOKSのレビュー
「ドイル傑作集 クルンバの悲劇」。イギリスの文豪アーサー・コナン・ドイルが、仏教や紀元前までに及ぶインドの知識などの博学を遺憾なく発揮して描いた傑作長編。荒野に囲まれたクルンバ館と呼ばれる屋敷へ越してきたヘザンストン将軍。アフガン戦争で偉大な功績を収めたはずの将軍が、高い壁を築いて村との交流を絶つほど臆病に振る舞うのはなぜか。ベールに包まれた将軍の謎めいた過去が本作の鍵となる。物語は土地の管理を任された父と共にこの地を訪れた主人公、ジョン・フォザギル・ウエストの回顧録という形を取る。将軍を取り巻く庭師の口述や医師の覚え書き、また将軍自身の日記など、個性豊かな登場人物たちの証言が混ざりあい、秘められた真相が浮かびあがる。ちなみに物語の舞台でもあり、小説全体に漂うあやしげな雰囲気を効果的に演出しているグレートブリテン島南西部の荒涼地帯は、シャーロック・ホームズシリーズの人気長編「シャーロック・ホームズとバスカヴィル家の犬」の舞台でもある。「クルンバの悲劇」はホームズ作品とは色を変え、東洋の魔術など神秘的なモチーフがふんだんに登場するサスペンス作品に仕上がっており、2作を読み比べてみるのもおすすめ。