ドイル傑作集 冒険編
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4.5 • 4件の評価
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- ¥250
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発行者による作品情報
コナン・ドイルはホームズシリーズの数倍にもおよぶ作品をのこしている。ここには、冒険をテーマにした短編を収録した。エジプト山岳地帯での実に滑稽な冒険談「ヒラリ・ジョイス中尉の初陣」、山奥の孤独な放浪者を驚惑させたひとつの不条理な人生図「ガスタ山の医師」、ジプシー部落での武勇伝「借りものの情景」、荒海の冒険「アーケーンジェルから来た男」、世紀の発明をめぐる皮肉な結末「ブラウン・ペリコード発動機」、著者の若いころの感傷的な作品「開かずの部屋」の6編。
APPLE BOOKSのレビュー
イギリスの文豪アーサー・コナン・ドイルの短編集「ドイル傑作集 冒険編」。ドイルの代表作「シャーロック・ホームズ」開始の前後に描かれたものが収められている。本作品では旅などの非日常のみならず、日常に潜む冒険もテーマとしている。「ヒラリ・ジョイス中尉の初陣」では、初めてエジプトの山岳地帯を訪れた中尉が灰色の目を持つ奇妙な大男を捕虜とするストーリー。「ガスタ山の医師」では、山奥に移り住んだ孤独な医師が、隣人との不都合な関係に巻き込まれていく。人間嫌いを自称する不愛想な研究者が、座礁した船から助け出したロシア女性を家に住まわせる「アーケンジェルから来た男」は、ラブロマンスを予感させつつ、唐突で悲劇的なエンディングで幕を降ろす。人と人との出会いによって新たな物語の扉が開くと同時に、話は登場人物たちの願いとは異なる方向に展開していく。人生の不条理さをありありと描いたコメディやサスペンスなど、ジャンルもさまざまな全6編を掲載。若き日のドイルが挑んだ読者を突き放すような実験的試みに感じ入りつつ、読み手を惹きつける文才が開花していく瞬間を味わえる。