ドミトリーともきんす
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5.0 • 1件の評価
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- ¥1,600
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発行者による作品情報
不思議な学生寮「ともきんす」に暮らす〈科学する人たち〉朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹……彼らが遺した文章と一組の母娘の出会いを描く、高野文子11年ぶりの新作コミック。
APPLE BOOKSのレビュー
ジャンルにとらわれず、作品ごとにスタイルを変えることで1980年代には漫画界のニューウェーブと称され、「黄色い本 ジャック・チボーという名の友人」では2003年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した漫画家、高野文子。その前作から11年ぶりの単行本となった「ドミトリーともきんす」も、彼女にとって新たな表現手法が試みられた作品。「もし、20世紀に日本で活躍した科学者たちが世に出る前にご近所さんだったら?」という架空空間が舞台。寮母のとも子さんと娘のきん子ちゃんが住む学生寮「ドミトリーともきんす」には、科学を志す寮生が4人住んでいる。彼らの名は朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹。4人が残した随筆やエッセイをモチーフとし、寮でのとも子さんときん子ちゃん、そして彼らが交わす何気ない日々の会話から科学の哲学に触れていく。自然科学書であり、実用書であり漫画でもあるように、既存のジャンルに当てはめることのできないこの本は、「絵を、気持ちを込めずに描くことで、素直に静かに伝えようと意識した」という著者のあとがき通り、読後に「涼しい風」が吹くような新しい読書体験をもたらしてくれる。