バロン～猫の男爵～(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

「星の瞳のシルエット」など純愛系ラブストーリーで数々のヒット作を生み出してきたベテラン・柊あおいのコミック作品「バロン～猫の男爵～(01)」。本作は、1995年にスタジオジブリの手により劇場アニメ化された柊の作品「耳をすませば」のスピンオフ作品。宮崎駿の提案により執筆され、同じくスタジオジブリによって劇場アニメ化されている。主人公は女子高校生・吉岡ハル。ひょんなことから猫の国の王子を救ったことで、可愛らしい猫たちから思いがけない恩返しを受け、猫の国で冒険を繰り広げる。前作に登場した猫の男爵（バロン）とあの太っちょ猫、ムタも活躍する。路面電車が走る懐かしい町並みに、ドールハウスのように小さく可愛らしい家、空に浮かぶ湖など、ページをめくるたびに立ち現れるロマンチックな世界観が魅力的。男爵はもちろん、城の兵士などの端役に至るまで、しっかりと描き込まれた個性あふれる猫たちの生き生きとした姿にも心踊らされる。児童文学の香り漂う良質なファンタジー作品として、親子で読んでも楽しめる。