ファラオの密室
-
-
3.5 • 18件の評価
-
-
- ¥800
-
- ¥800
発行者による作品情報
第22回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞受賞作、文庫化です! 紀元前1300年代後半、古代エジプト。死んでミイラにされた神官のセティは、心臓に欠けがあるため冥界の審判を受けることができない。欠けた心臓を取り戻すために地上に舞い戻ったが、期限は3日。セティは、自分が死んだ事件を捜査しながら、密室状態のピラミッドから消失した先王のミイラの真相を追う!
APPLE BOOKSのレビュー
紀元前14世紀の古代エジプトを舞台に、冥界からよみがえったミイラ探偵が王墓の密室トリックに挑む。東京大学工学部卒でAIベンチャーを起業し、現在はマネックスグループの取締役兼執行役という異色の経歴を持つ作者によるデビュー作。王墓建設中に陥落事故で不慮の死を遂げ、記憶を失った上級神官書記のセティは、冥界で真実をつかさどる女神マアトから審判不能と宣告される。セティの心臓には欠けがあり、てんびんにかけられないのだ。盗まれた心臓のかけらを探すため、ミイラの姿で現世に戻ったセティ。タイムリミットは3日。それを過ぎれば魂が永遠にさまようこととなる。一方、エジプトの主神を唯一神アテンに定め、他の神々の信仰を禁じた先王アクエンアテンの葬送の儀の当日、王墓の玄室に運び込まれた先王のミイラが消失する事件が発生。幼なじみのミイラ職人タレク、過酷な労働を強いられている異民族の奴隷少女カリと共に、セティはこの謎も解いていく。当時のエジプトの死生観を特殊設定ミステリーに仕立てる発想が見事。古代エジプトの宗教革命という史実を基にしながら、現代の読者が読みやすいように細心の注意が払われている。