フィフティ・ピープル[新版]
-
- ¥2,400
-
- ¥2,400
発行者による作品情報
〈この50人の中に、きっとあなたの味方がいる〉
多くの読者に愛され、読み継がれてきた韓国文学の必読の名作が、細部にさらなる磨きをかけて再登場。
50人の登場人物が、あやとりのようにすれ違い、重なりあい、結び合う。
一度読んだ人も、初めましての人も。読めばだれかと話したくなる、悲しくて、おかしくて、痛くて、愛おしい物語。
APPLE BOOKSのレビュー
2016年に韓国で発表され、身近な人を思い起こさせるエピソードで日本でも愛読者が生まれたチョン・セランの『フィフティ・ピープル』。ソウル近郊の大病院を舞台に、50人以上の人々が主人公となるエピソードが緩やかにつながる短編集だ。2021年には、作家自身が設定や背景を見直し、表現も改めて全面的に改訂した新版が韓国で発表され、日本でも2024年に再リリースされた。病院の物語とはいえ、専門用語が飛び交う医療小説ではなく、どこにでもいそうな普通の人々が大病院を出入りし、突然の事故に心を揺らし、長く抱える葛藤を手放そうと動き出す群像劇だ。そこはかとなく死が漂うエピソードが多いにもかかわらず、軽やかな文体がネガティブな雰囲気を消し、スルスルと読ませる。各々の物語はあたかもパズルのピースのようだ。ページが進むごとにぴたりとピースがはまり、やがて大きな絵が現れる。翻訳は、日本における韓国現代文学のブームをけん引する斎藤真理子。本作が韓国で実際に起きた事件やデモを下敷きにしていると詳細に伝える名解説は必読だ。