モスクワの伯爵
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3.7 • 3件の評価
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- ¥3,800
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発行者による作品情報
ロシア革命後、堕落した特権階級である罪で、一生ホテルから出られなくなった伯爵。絶望に沈みゆくなか、曲者ぞろいの従業員と客との出会いが彼に新たな生き方を選ばせる。艷やかな人物造形、きらびやかな生活描写、上質なユーモアに全世界が惚れた話題の書!
APPLE BOOKSのレビュー
2011年のデビュー作「Rules of Civility」がアメリカでベストセラーとなった、作家エイモア・トールズによる2作目の長編小説「モスクワの伯爵」。ワシントン・ポストなど、全米5紙で年間ベストブックと評された。ロシア革命後、貴族階級の堕落に屈したとして、その一生を高級ホテルで軟禁されることとなったロストフ伯爵。ところがあてがわれたのはそれまで過ごしていたスイートルームではなく、屋根裏にある狭く古びた元従業員部屋だった。名付け親の金言を元に境遇の奴隷として一生を過ごすのではなく、境遇の主人となるべく決意した彼は、悲嘆に暮れる代わりに本を読み、ホテル内の高級レストランで食事をし、夜はバーでお酒をたしなむ日々を過ごしていた。そんな伯爵への気遣いを忘れないホテルの従業員たちや、新たに友人となった才気煥発(さいきかんぱつ)な少女。彼らと長い時をホテルで過ごすうちに、伯爵は自らの才を活かした新しい人生を発見する。そして時が過ぎ、ある訪問客によって伯爵の人生にまた新たな転機が訪れ、ラストは予想外の展開に。激動のロシア革命をホテルの中という限られた世界から描きだし、そのユーモアとエレガントさで全米を魅了した話題の一冊。伯爵の暮らしを丁寧に紡ぎ出すことで、往時のロシア貴族の暮らしぶりやロシア革命が市民にもたらした変化を身近に感じ取ることができる。