世界は感情で動く――行動経済学からみる脳のトラップ
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発行者による作品情報
世の中すべて「直感」からはじまる!
銀行の倒産、株価暴落、不動産市場の動向、大統領選挙、イラク戦争、
医者の診断、裁判の判決、人事考課、性格診断、宝くじの当選・・・
えっ! こんなことも?
豊富なエピソードで一気に読める「脳の罠(トラップ)」回避法
人は直感が大好き。
理屈で考えるより先に無意識に行動する。
それは集団をも巻き込み、国家や企業の命運や人命に関わる重大な決断や判断さえも左右するのだ。
最新の行動経済学は神経経済学の成果もとりいれて、人の認知のみならず判断や行動に見られる心のバイアスを明らかにしてきたが、この脳が仕掛ける「トラップ」を理解し、自分の錯覚と他人の策略から身を守る方法を提示する。
判断のうらに潜む「脳の罠(トラップ)」を知ろう
予言どおり銀行が倒産した →<予言の自己成就>
指紋やDNAは確実な証拠だ →<確実性効果>
あの記憶は実際には「なかった」→<偽りの記憶>
「イエスマン」だといわれる →<集団思考>
高いワインがおいしい →<ハロー効果>
「占い」はよく当たる →<バーナム効果>
<注意の焦点化効果><後知恵><順序効果><後悔の理論>
◆行動経済学から神経経済学へ
ダニエル・カーネマン(1934- )とエイモス・トヴェルスキー(1937-1996)は、1970年代後半から80年代前半にかけて、多数の実験をもとに、現実の人間が不確実性のもとでは必ずしも合理的な意思決定をせず、伝統的な経済学の理論から「ある規則」によって外れることを実証、「期待効用理論」に替わる理論として「プロスペクト理論」(prospect theory:リスクを伴う決定がどのように行われるかについての理論)を提唱した。
利益と損失に対して人間がどう反応し、判断するかという研究は、株式市場における投資家の心理分析や、行動ファイナンス理論の基礎を築き、これが「行動経済学」という新しい経済学の生まれる契機となった。
カーネマンは、2002年に「心理学的研究を経済学に導入した業績」でノーベル経済学賞を受賞した。
近年、脳科学の進歩にともない、fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging:機能的磁気共鳴画像)装置を使うことにより、活動している人間の脳内のどこの部分が活発に動いているかが読めるようになったため、経済行動についても脳科学の知見から分析が可能となり、さらに新しい「神経経済学」という分野が生まれている。