五色の‪舟‬

APPLE BOOKSのレビュー

川舟に暮らす異形の疑似家族を描いた津原泰水の小説を、数々の文学作品のマンガ化を手掛けた近藤ようこが、その独特な筆致で描き切った一冊。淡々とした描写ながら、白黒の使い分けなど筆者ならではの手法を効果的に用いて、いつしか読者を作品世界に没頭させていく。津原泰水の描いたノスタルジックで少し恐ろしくも幻想的な情景を見事に再現させただけでなく、近藤ようこならではの空気感を漂わせ、小説のマンガ化を超えるマンガ作品として昇華させた傑作。