奇想、天を動かす~吉敷竹史シリーズ11~
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4.5 • 2件の評価
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発行者による作品情報
浅草で老人が、消費税12円を請求されたことに腹を立て、女性店主をナイフで刺殺した。だが老人は氏名すら名乗らずに完全黙秘を続けている。この裏には何かがある!? 警視庁捜査一課の吉敷竹史は、懸命な捜査の結果、ついに過去数十年に及ぶ巨大な犯罪の構図を突き止めた! 壮大なトリックを駆使し、本格推理と社会派推理とを見事に融合させた傑作!
APPLE BOOKSのレビュー
島田荘司が手掛けた名探偵、御手洗潔と並ぶキャラクター、警視庁捜査一課の吉敷竹史が活躍するシリーズ中期の代表作。大胆なトリックの本格ミステリーと、戦時から続く悲劇を描いた社会派推理を融合した作品としての評価も高い。平成元年4月、浅草で乾物屋の女主人がナイフで刺殺された。犯人は、導入直後の消費税12円を請求されたホームレス風の老人。動機はおろか、氏名も名乗らず卑屈に笑うのみで黙秘する老人が、以前も殺人罪で服役し、江戸川乱歩のような小説を書いていたと知った吉敷は、その小説『ピエロの謎』を読むが、そこには不可解な謎に満ちた物語が書かれていた。しかもそれは、昭和32年、北海道の札沼線で実際に起きた事件らしい…。列車内のトイレから消えたピエロの死体、起き上がる轢断(れきだん)死体、白い巨人が列車を持ち上げる脱線事故、と驚くべき謎が次々と現れ、すべてが合理的に解決される力業。加えて、一人の男の生きる姿を通して日本の暗部を告発する社会派ミステリーとしても忘れ難い傑作。