契れないひと(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

漫画投稿サイトから頭角を現した異色の漫画家、たかたけしのデビュー作品「契れないひと」。子ども英会話教室の訪問販売員たちが目の当たりにする世知辛い世の中を、不条理な笑いを交えて描く。現場に出て2か月が経っても契約数ゼロ件の落ちこぼれ勧誘員、ノグチマイコは上司の理不尽なダメ出しを受けながら、飛び込み営業に奔走する毎日。営業先で出会うワケありな人々の心ない対応に動揺するたびに見せる、淡泊な画風を一転させたユニークな表情が強烈なインパクトを放つ。挫折の一歩手前でアクの強い同僚たちの励ましを受けながら、知らない人の玄関へすべり込もうとする彼女の哀しくもユーモアあふれる日々を、独特の画風と不思議な疾走感でつづる。飛び込み営業の経験を持つ作者のリアリティあるエピソードと、突き抜けたギャグがシュールな笑いを誘う。