妻が椎茸だったころ
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3.8 • 6件の評価
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- ¥610
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発行者による作品情報
亡き妻の残したレシピをもとに、椎茸と格闘する泰平は、料理教室に通うことにした。不在という存在をユーラモスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて、愛おしい」五つの偏愛短編集。<泉鏡花賞受賞作>
APPLE BOOKSのレビュー
直木賞受賞作「小さいおうち」で知られる作家、中島京子の筆力・構成力の巧みさが光る中編小説集「妻が椎茸だったころ」。 先だった妻が残した日記帳のようなレシピ帳を見つけた夫の姿をユーモラスかつ優しく描き泉鏡花賞を受賞した表題作はもちろん、米オレゴン州の田舎町での邂逅を綴った「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」、亡くなった叔母の遺品整理のために訪れた家で出会った青年から、偏屈だと思っていた彼女の意外な晩年を聞かされ白昼夢のような時間を過ごす「ハクビシンを飼う」など、少しゾッとしたり、温かい気持ちになったりと豊かな余韻を楽しめる一冊。就寝前の読書として、一作ずつ味わうのもおすすめ。