宙わたる教室
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
定時制高校の教室に「火星」を作り出す――胸が熱くなる青春科学小説
東京・新宿にある都立高校の定時制。
そこにはさまざまな事情を抱えた生徒たちが通っていた。
負のスパイラルから抜け出せない二十一歳の岳人。
子ども時代に学校に通えなかったアンジェラ。
起立性調節障害で不登校になり、定時制に進学した佳純。
中学を出てすぐ東京で集団就職した七十代の長嶺。
「もう一度学校に通いたい」という思いのもとに集った生徒たちは、
理科教師の藤竹を顧問として科学部を結成し、
学会で発表することを目標に、
「火星のクレーター」を再現する実験を始める――。
『月まで三キロ』『八月の銀の雪』著者がおくる、
今年一番熱い青春科学小説!
APPLE BOOKSのレビュー
東京大学大学院理学系研究科で博士課程修了後に大学勤務を経て『お台場アイランドベイビー』でデビューした異色の経歴を持つ作家、伊与原新による科学青春小説。舞台は東京、新宿にある都立高校の定時制。通うのは、それぞれが複雑な事情を抱えた生徒たち。彼らは理科教師の藤竹に誘われて科学部に参加し、「火星のクレーター」を再現する実験を始める…。優れた計算能力を持ちながら学習障がいのある不良の岳人、学校に通えず教師になりたいという夢を断念したアンジェラ、起立性調節障がいで不登校になり、苦しさから解放されるためにリストカットを繰り返していたSF小説好きの佳純など、科学部に集う登場人物たちの物語を章立てにしながら、メンバーがそれぞれの思いや希望を胸に、研究成果を学会で発表するという目標に向かってまい進していく姿が爽やかな感動を呼ぶ。好きという思いを大切にすること、夢はかなう、かなわないではなく生きるための糧であること、そして学びの大切さなどを痛感させられる。すべての“今”を生きる人びとのための物語であり、そして明日を前向きに生きるための指南書だ。