忠臣蔵[上]
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4.5 • 15件の評価
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- ¥850
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発行者による作品情報
許せ。それは内匠頭が告げた訣別の呟きであった。殿中松の廊下、内匠頭は愛しい者や愛する古里すべてを備前長船一尺七寸の業物にかけて捨て去った。「上野介、待て!」構想十余年、著者の忠臣蔵は絢爛たる人間蔵ドラマとして描かれた!
APPLE BOOKSのレビュー
2015年に作家生活50周年を迎えた森村誠一による時代小説「忠臣蔵(上)」。これまで何度も小説化・映像化され、日本人に最も愛されている物語を著者ならではの視点で紡いだ大著。従来、討ち入りを行った大石内蔵助らが英雄で、吉良上野介側が悪であるという設定で描かれることが多いが、著者はあくまでも中立の立場を貫き、当時の時代背景や幕政などを鑑みつつ、事件について綴っている。特に本作は、四十七士のなかで無名に近い人物にも焦点を当てており、身分や思想も異なる47人が共に仇討ちに参加したいきさつや各人に起こるドラマを、史実に沿いつつも斬新な解釈を交えて描いているため、新味のある物語として読むことができる。いわば新しい "忠臣蔵" といえるだろう。著者は80歳を過ぎてもなお筆が衰えず、著書は400作以上にのぼる。ミステリー作家としての印象が強いが、実は時代小説の名手でもあり、多くの読者から支持されている。歴史用語や人物についてやさしく解説しながら物語が進むため、歴史が苦手な人や時代小説の初心者にも読みやすいおすすめの1冊。