戦争は女の顔をしていない
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4.6 • 11件の評価
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発行者による作品情報
ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し,看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った.しかし戦後は世間から白い目で見られ,みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――.500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした,ノーベル文学賞作家の主著.(解説=澤地久枝)
APPLE BOOKSのレビュー
2015年、ノーベル文学賞を受賞したベラルーシ人ジャーナリストのスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ。本作は第2次世界大戦中に戦地に赴いたソ連の女性500人以上から、彼女が執念で聞き出した衝撃と絶望の証言集。日本ではあまり知られていないが、ソ連は1941年に開戦したドイツとの戦いで2700万人が犠牲となった、第2次世界大戦で最大の犠牲国。総力戦の中で100万人もの女性が従軍し、医療従事者として派遣されただけでなく、飛行機の操縦士や狙撃兵、夫婦で戦車の機関士として最前線で戦ったとの証言に驚かされる。しかし、戦地で戦い、褒賞を受けたにもかかわらず、故郷では差別に遭い、兵士だったことをひた隠しにし口を閉ざすことを強いられた元女性兵士たち。戦後に生まれた著者は、壮絶な記憶を封印してきた彼女たちから記憶の糸をたぐり寄せ、埋もれかけたもう一つの歴史を世に送り出した。短くぶつ切れの証言の数々は、彼女たちがまだ言いよどむ事実があると証明しているかのようだ。2020年には日本でも小梅けいとによってコミカライズされた。