手鎖心中
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2.5 • 2件の評価
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- ¥440
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発行者による作品情報
材木問屋の若旦那、栄次郎ときたら、いずれ大店を継ぐ安楽な身の上のくせに、他人を笑わせ、他人に笑われ、ちょっぴり奉られもしたいがために、絵草紙の作者になりたいと思い焦がれている。悲しいかな、その才能は皆無なのだが、それを知らぬは本人ばかり。暢気でお調子者の若旦那を主人公としたこの小説、江戸・寛政期の風俗と実在の戯作者たち、洒落や地口を綺羅星のごとくちりばめて、あまりのばかばかしさに読者が吹きださずにはいられない、第六十七回直木賞受賞作の傑作時代小説。
APPLE BOOKSのレビュー
第67回(1972年上半期)直木賞受賞作。『浮かれ心中』として歌舞伎演目にもなっている戯作。江戸時代後期、蔦屋重三郎の文学サロンに潜り込んだ、材木問屋の若旦那が巻き起こす珍騒動を、著者らしいテンポの良い文体で描く。後に『東海道中膝栗毛』を記す十返舎一九が蔦屋家の居候となり、山東京伝や太田南畝、東洲斎写楽や喜多川歌麿らも登場。細部も軽妙な語り口ですんなりと読み進められ、まるで江戸時代の光景をそのまま体感しているような臨場感がある。戯作者を目指す若旦那は、文章の腕を磨くよりも、話題性だけを求めて奇行に走る。現代の炎上インフルエンサーのような迷走ぶりは、最初はおかしく、やがて哀れになっていく。数々の文学賞を受賞する著者の出世作であり、同時収録の「江戸の夕立ち」もユーモアとペーソスにあふれた傑作だ。江戸時代の文学界における閉塞(へいそく)感を風刺しながら、現代まで続く、物語を創造するクリエイターたちの青春の悲喜劇を描いているともいえる。