文字禍
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4.4 • 75 Ratings
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Publisher Description
「文字禍」は昭和初期に活躍したが惜しくも早世した小説家、中島敦の短編小説。古代アッシリヤの図書館で、毎晩の闇の中で怪しい声がする。大王に召された老博士ナブ・アヘ・エリバは、この「言葉の精霊」についての研究をすることになるが、やがてニネヴェが大地震に見舞われる。
Customer Reviews
ぶんがーる
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現代人にも通ずる一作
あまりにも当たり前に存在する「文字」によって我々は知らず知らずのうちに影響を受け、文明は「記録」によって発展したが、人間本来の能力は衰えてしまった。新しい文明の産物を手に入れることで我々人間は何かを失ってしまう。数々の電子機器が誕生する現在において、人間の生活が容易い物になっているということは、人間の能力の後退を暗示している。あまりに新しい機器に頼りすぎている現代人に警鐘を鳴らすような一作であった。
Mudblood Prince
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なんか文学ってすごい
東大の現代文に少し出てたから読んだけど、こういう小説が昭和17年に既に存在してたと思うとすごいなあとおもう。このころにはゲシュタルト崩壊も知られてなかったろうしいろんな意味で、やっぱり山月記みたいな小説を書く人は一味違うなと思うばかり。