時間は存在しな‪い‬

APPLE BOOKSのレビュー

「すごい物理学講義」でメルク・セローノ文学賞、ガリレオ文学賞を受賞したイタリア出身の物理学者カルロ・ロヴェッリによる、全く新しい時間論。我々が当たり前のように流れていると感じる時間は、実は地表からの高低差や速度などによって伸縮し、必ずしも一定とは限らない。最新のループ量子重力理論において、時間は存在しないという驚きの考察をわかりやすく解説し、なぜ人間は時間が存在するように感じるのかまで言及する。地球が丸いという事実や、重力の存在を知らなかった昔の人々と同じように、時間という概念が一変する衝撃を味わえるだろう。天才物理学者スティーヴン・ホーキングの再来とも評される著者が、相対性理論をはじめ、脳科学、古代哲学、インドの叙事詩まで、幅広い観念的な知見を参照しながら新たな時間論を説く。難しい物理用語など知らなくても、エッセイのように気軽に読める、時間という概念だけでなくこの世界への見方も広げてくれる一冊。