書物を愛する道
発行者による作品情報
明治・昭和時代の日本の民俗学者・官僚である柳田國男の作品。日本民俗学の開拓者である柳田氏の「書物を愛する道」は人々の読解力を確立しようと思って書いたものである。
カスタマーレビュー
qovopy
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古書との付き合い方を考える
柳田國男による文庫本の役割についての批判文。外国の翻訳本が売れるのに対し、日本の古書が顧みられない事を嘆く。口語体での本が普及するにつれ、漢文調や行書草書の古書を読める人が少なくなった事が原因。また、昔は読者の存在を考えず、何十年もかけて書き溜めていくうちに、途中で筆者の態度も変わってしまう事も読みにくさの原因と分析。そんな傾向に対し、漢文調の文章を口語体に書き下した略本を出したりと、苦心されている。古書への敷居の高さをカラタチの垣根に例えたり、本を時代を超える交通手段に喩えたりしているのが面白い。