注文をまちがえる料理店
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4.2 • 23件の評価
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- ¥1,500
発行者による作品情報
「注文をまちがえるなんて、変なレストランだな」
きっとあなたはそう思うでしょう。
私たちのホールで働く従業員は、
みんな認知症の方々です。
ときどき注文をまちがえるかもしれないことを、
どうかご承知ください。
その代わり、
どのメニューもここでしか味わえない、
特別においしいものだけをそろえました。
「こっちもおいしそうだし、ま、いいか」
そんなあなたの一言が聞けたら、
そしてそのおおらかな気分が、
日本中に広がることを心から願っています。
――「注文をまちがえる料理店」に掲げられたステートメントより
2017年6月。
日本のみならず世界中の話題をさらった
レストランがありました。
その名は「注文をまちがえる料理店」。
接客をするのは“認知症を抱える人”。
まちがえることを受け入れて、
まちがえることを一緒に楽しむ。
この不思議であたたかいレストランの
ものがたりを1冊にまとめたのが本書です。
I部ではこのレストランで
本当にあったお話(物語)を、
II部ではこの企画の発起人である
小国士朗氏による解説ならびに
レストランにかける思いを掲載しています。
忘れちゃったけど、まちがえちゃったけど、まあいいか。
■目次
●Prologue 「注文を間違える料理店」ができるまで
●第I部 「注文を間違える料理店」で本当にあったものがたり
●第II部 「注文を間違える料理店」のつくりかた
●Epilogue 「注文を間違える料理店」のこれから
■著者 小国士朗
「注文をまちがえる料理店」発起人
テレビ局ディレクター。
1979年生まれ。東北大学卒業後、2003年に某テレビ局に入局。
2013年に心室頻拍を発症。
テレビ番組を作るのが本当に大好きで相当なエネルギーを注いできたが、
それを諦めなければならない事態になり、一時はかなり悩み落ち込む。
しかし、「テレビ局の持っている価値をしゃぶりつくして、社会に還元する」
というミッションのもと、
数々のプロジェクトを立ち上げ、
いつしか局内でもテレビ番組をまったく作らない、
おかしなディレクターとして認識されるようになり、
ついには専用の部署までできることに。
「注文をまちがえる料理店」はとある取材時に思いついたことを形にしたもの。
好物はハンバーグとカレー。
APPLE BOOKSのレビュー
海外からも注目を集めた期間限定レストランの成り立ちから反響までをドキュメントした『注文をまちがえる料理店』。2017年にオープンした風変わりなレストランには特別なルールがある。それは「注文した料理がきちんと届くかは分からない」というもの。接客スタッフ全員が認知症の人たちなのだ。発案したのは一人のテレビディレクター。ある介護施設を取材した際の出来事がきっかけだった。昼食はハンバーグと聞いていたのに出てきたのは餃子…しかし、おいしければいいじゃないか。間違いを正すより楽しもう、そんなところから始まった企画が「注文をまちがえる料理店」である。ホールに立つ認知症のスタッフたちは、聞いたばかりの注文を忘れたり、違ったテーブルに料理を運んだり。でも、お客さんはにこやかに受け入れてくれる。たとえ翌日には忘れてしまっても、ほんのひととき自信を取り戻し、仕事ができる喜びに笑みを浮かべるスタッフたち。はちゃめちゃだけれど、みんなとても楽しそう。こうした寛容さが広がれば、世の中はもっと暮らしやすくなるのではないだろうか。このユニークな試みが見いだした新たな可能性は、心をワクワクさせてくれる。