消費社会の神話と構造 新装版
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
他人との差異を示すためのファッション、インテリア、自動車からメディア、教養、娯楽、余暇、美しさ・健康への強迫観念、セックス、疲労、暴力・非暴力まで――すべては消費される「記号」にすぎない。
1970年にいち早く「消費社会」という概念を提示し時代を拓いた名著に新たに「索引」と幻の原書初版からボードリヤール自身による写真2点を追加した決定版!
APPLE BOOKSのレビュー
フランスの社会学者、ジャン・ボードリヤールが“消費社会とは何か”を多角的に論じた名著。1970年の刊行以来、大衆消費社会を説明する画期的な現代社会論、文化論として、長きにわたり読まれてきた。経済発展が進み、社会は物質的に豊かになった。にもかかわらず人はなぜモノを求め続けるのか。その原因は、現代が商品それ自体の価値よりも、その商品に付与された意味に価値を見いだすからだ、とボードリヤールは主張する。社会が豊かになり、人々の生活が均質化されると、いかに他人との違いを示すかという差異化の欲求が生じる。消費とは、モノを介して自分らしさを主張する言語活動であり、人々は差異化を図るために、あらゆるモノを差別化されたイメージ=記号に置き換え、アイデンティティ確立のためにますます記号を消費する。それは差異化が無限に強制され、消費を拡大し続けるシステムだ。豊かな社会=幸福という神話とは裏腹に、不平等な構造が経済成長を生み出し、成長が不平等を再生産する。豊かさとは浪費の中でのみ意味を持つと喝破し、余暇、マスメディア、広告、三面記事的なテレビ、クイズ番組、ポップアート、断食とダイエットなど、あらゆる事物を取り上げて消費社会のメカニズムを暴いた、舌鋒(ぜっぽう)鋭い指摘の数々は、今こそ読まれるべき。