空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
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- ¥550
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発行者による作品情報
チベットの奥地、ツアンポー川流域に「空白の五マイル」と呼ばれる秘境があった。そこに眠るのは、これまで数々の冒険家たちのチャレンジを跳ね返し続けてきた伝説の谷、ツアンポー峡谷。人跡未踏といわれる峡谷の初踏査へと旅立った著者が、命の危険も顧みずに挑んだ単独行の果てに目にした光景とは─。開高健ノンフィクション賞をはじめ、多くの賞を受賞した、若き冒険作家の野心作。
APPLE BOOKSのレビュー
探検家・角幡唯介によるノンフィクション「空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む」。チベット奥地のヤル・ツアンポー峡谷に残された、有史以来、人類が誰も足を踏み入れたことのない5マイルほどの空白地域に、2度にわたって挑んだ壮絶な踏破記録をつづる。確かな筆力によって生々しく活写されるのは、悪天候、寒波、滑落、食糧の不足など、生死を左右するような極限状況。緊迫感あふれる展開の連続や、命の危険にさらされながらも前に進んでいく姿はすさまじい。その一方で、見知らぬ土地の人々の暮らしぶりや荘厳な自然の描写は、読む者を異境のロマンへと誘っていく。過酷な探検の軌跡を通じて伝わってくるのは、冒険とは危険な挑戦をすることで生を輝かせることであるという角幡の思い。それを身をもって体現するチャレンジ精神には、激しく胸を打たれる。その後、著者はネパールにおける雪男の探索や太陽が1日中昇らない極夜の北極探検などにチャレンジしていく。極地探検家としてさまざまなメディアで注目を集めるようになる角幡の原点ともういうべき名作。